このたび、兵庫県高砂市のお客様より、「不動明王三幅対」の修理をご依頼いただきました。
ご依頼のあった三幅は、左より 役小角(えんのおづぬ)、中央に 不動明王と二大童子、右に 八大童子(と思われます)という構成。いずれも時代を感じさせる趣のあるお軸で、長年にわたり大切に飾られてきたことがうかがえました。
それぞれの掛軸について
役小角は、日本の修験道の開祖とされる伝説的な人物で、前鬼・後鬼という鬼を弟子に従え修行したという逸話でも知られています。
中央の不動明王は、大日如来の化身とされ、左右に立つ童子(二大童子)とともに描かれるのは、まさに定番の図柄ですね。
そして右側には、あまり見かけない構図である 不動八大童子(ふどうはちだいどうじ) が描かれていると思われます。このような三幅対は非常に珍しく、信仰の対象として大切に扱われてきた様子が伝わってまいります。
修理の内容について
今回は三幅のうち一幅の表具が裂けてしまっていたため、お客様は当初「一幅だけの修理」をご検討されていました。
しかしながら、三幅は並べて飾るもののため、一幅だけ新しくしてしまうとバランスが崩れてしまいます。その点をご説明し、ご納得いただいたうえで、三幅すべての修理をさせていただくことになりました。
また今回はお客様のご意向で、「洗い(シミ抜きや汚れ落とし)」は行わず、表具のみの変更としました。
古色や時代感を残したい場合、必ずしも洗いが必要とは限りません。そのままの風合いを大切にされる選択もまた、ひとつの美意識です。
修理後、お客様からは「綺麗になった」と嬉しいお言葉をいただきました。大切にされていた掛軸を手がけさせていただき、私たちにとっても喜びひとしおでした。
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